この記事は、「Pro SDK を使用した ArcGIS Pro の拡張」シリーズの第 2 弾です。
本シリーズでは、ArcGIS Pro SDK (以下、Pro SDK) を使用した ArcGIS Pro の拡張方法をご紹介しています。前回の記事では、Pro SDK とはどういった開発製品かということと、ArcGIS Pro でどのようなカスタマイズが可能なのかをご紹介しました。
今回は、開発環境の構築方法についてご紹介します。
第 1 弾: ArcGIS Pro SDK とは?
第 2 弾:環境構築(本記事)
第 3 弾:アドインプロジェクトの構成
第 4 弾:アドインの開発
第 5 弾:管理構成画面のカスタマイズ
Pro SDK を用いて ArcGIS Pro の拡張アドインを開発するには、一般的に統合開発環境として Microsoft Visual Studio (以下、Visual Studio) を使用します。そのため、Pro SDK がサポートするバージョンの Windows OS と Microsoft Visual Studio が適切にセットアップされている必要があります。
Pro SDK がサポートする最新の動作環境につきましては下記をご参照ください。
Pro SDK のインストールには、次の2つの方法があります。
※ Visual Studio では、インストールできるバージョンは最新のバージョンのみですので、旧バージョンのインストールを行う場合は、GitHub からインストーラーをダウンロードします。
Visual Studio の [拡張機能] を使用した最新バージョンのインストール方法をご紹介します。
1.Visual Studio を起動します。
2.Visual Studio の [拡張機能] メニューの [拡張機能の管理] を選択します。
3.[オンライン] 項目の [Visual Studio Marketplace] を選択します
4.右上の検索ボックスに 「ArcGIS Pro SDK」と入力します。検索結果として「ArcGIS Pro SDK for .NET」と「ArcGIS Pro SDK for .NET(Utilities)」、「ArcGIS Pro SDK for .NET(Migration)」が表示されます。
5.「ArcGIS Pro SDK for .NET」 と 「ArcGIS Pro SDK for .NET (Utilities) 」 をそれぞれ選択し、[ダウンロード] をクリックします。
※ Pro SDK 2.x から 3.x への移行が必要な場合は「ArcGIS Pro SDK for .NET(Migration)」もダウンロードします。詳細は Pro 3.x への移行をご参照ください。
6.インストール内容を Visual Studio に反映させるため、ダイアログの下部に表示されている [閉じる] をクリックして、一度 Visual Studio を終了します。
7.[VSIX Installer] ダイアログが表示されます。[Modify] をクリックして、ArcGIS Pro SDK for .NET をインストールします。
8.Visual Studio に ArcGIS Pro SDK for .NET のテンプレートとユーティリティがインストールされていることを確認します。
再度、Visual Studio を起動して [新しいプロジェクトの作成] メニューの [すべてのプロジェクトの種類] で [ArcGIS Pro SDK] を選択します。C#および Visual Basic 用の新しいプロジェクトテンプレートのリストに「ArcGIS Pro モジュール アドイン」、「ArcGIS Pro 構成管理」など、Pro SDK のテンプレートが表示されていれば、インストールは完了しています。
旧バージョンの SDK をインストールするには、GitHub からインストーラーファイルをダウンロードする必要があります。
1.下記の URL から GitHub のサイトにアクセスし Pro SDK の任意のバージョンのを選択します。
https://github.com/Esri/arcgis-pro-sdk/releases
2.[Assets] 内にある「proapp-sdk-templates.vsix」と「proapp-sdk-utilities.visx」をダウンロードします。
3.ダウンロードした「proapp-sdk-templates.vsix」と「proapp-sdk-utilities.visx」のファイルをダブルクリックすると VSIX インストーラーが起動しますので、[Install] をクリックしてインストールを行います。
確認は、「最新バージョンのインストール手順の 8 」と同じ方法で確認します。
Visual Studio では、Pro SDK の自動更新がデフォルトでオンとなっています。
ArcGIS Pro と ArcGIS Pro SDK のバージョンが異なると、アドインの使用時などにエラーが発生してしまいます。そのため、自動更新をオフにすることを推奨しています。
Visual Studio で、[ツール] メニュー → [オプション] → [環境] → [拡張機能] から[拡張機能を自動的に更新する] のチェックを外し、[OK] をクリックすることで、自動更新をオフに設定することが可能です。
これで開発環境の構築は完了です。
次回は、Pro SDK で実装するための基本構成などについてご紹介していきます。