はじめに
「ArcGIS API for Python を使ってみよう」シリーズブログでは、ArcGIS API for Python (以下、Python API)の機能などをご紹介しています。
環境構築の記事では Anaconda という Python のパッケージ管理システムを使った環境構築方法をご紹介しました。
この記事では、ArcGIS Pro(ArcGIS のデスクトップ製品)を使った環境構築方法をご紹介します。
2020 年 5 月 25 日追記 ArcGIS for Developers 開発リソース集にて環境構築の方法を詳しくご紹介しています。最新バージョンのインストール方法等は ArcGIS for Developers 開発リソース集の ArcGIS API for Python のインストールガイドのページをご参照ください。
ArcGIS Pro で環境構築を行うメリット
次の 2 つのメリットが挙げられます。
Tips:ArcPy とは?
ArcGIS 上で様々な空間演算ができる Python ライブラリです。
Python APIは基本的に Web GIS に対して処理を実行するのに対して、ArcPy はローカル環境に存在する地理空間データに対して処理を実行します。
ArcPy は ArcGIS Pro に付属する Python ライブラリのため、パッケージ管理システム(Anaconda や pipなど)でインストールすることはできません。
ArcGIS Pro と Python コマンドプロンプトを使用した環境構築方法
それでは、環境構築方法に移っていきます。
ArcGIS Pro 2.1 には、デフォルトで旧バージョン(1.2.5)の Python API がインストールされています。
そのため、
(再度、手順1に戻る)
という 2 つの手順となります。
1.ArcGIS Pro の Python パッケージマネージャーから現在の Python API のバージョンを確認
ArcGIS Pro を起動したら、画面左下の [ArcGIS Pro について] ボタンを選択します。
左のメニューから [Python] を選択して「Python パッケージマネージャー」を表示します。
画面中ごろの「インストール済みパッケージ」が選択されており、インストールされたパッケージの中にある [arcgis] という名前のパッケージが Python API のライブラリです。ここでバージョンの確認ができます。デフォルトのバージョンは 1.2.5 です。
2.Python コマンドプロンプトを使用して Python API のバージョンをアップデート
Python API のバージョンを最新にしましょう。
「Python コマンドプロンプト」は、Windows のメニューから次の順番で選択して起動します。
[Windows メニュー] > [ArcGIS] > [Python コマンドプロンプト]
「Python コマンドプロンプト」を起動したら、以下コマンドを入力し [Enter] キーで実行します。
conda upgrade -c esri --no-pin arcgis
続けるかどうか 「Proceed(/n)?」 の表示がでたら ”y“ を入力して実行します。
Tips:コマンド解説
アップデートするライブラリは Web 上の Anaconda が管理しています。
「-c esri」はその Anaconda 上のチャネルを指定しています(”esri” というチャネルが登録されています)
「--no-pin arcgis」は、インストールする端末の conda 環境を保ったまま、arcgis(Python API)をアップデートするための設定です。
※Python API のバージョンアップと、Anaconda と Python APIのバージョンの依存関係によって、コマンドが変更される可能性があります。
参考サイト:conda upgradeオプション -How to pin Conda-
これで、エラーなく処理が終われば環境構築の完了です。
最後に Python パッケージマネージャーから結果をみてみましょう。(2018年7月11日現在、最新バージョンは 1.4.2 です)
注意
おまけ:Jupyter Notebook で ArcPy を利用する
Jupyter Notebook は「Python コマンドプロンプト」と同じくWindowsのメニューから起動できます。
[Windows メニュー] > [ArcGIS] > [Jupyter Notebook]
Tips :便利なコマンド引数(筆者談)
「Python コマンドプロンプトからも起動可能です。その場合「jupyter notebook <ディレクトのパス>」
を指定することで、任意のフォルダ配下を Jupyter Notebook のホームディレクトリに設定することができます。
デフォルトのホームディレクトリは、おおよそ各ユーザーフォルダの配下となります。
新しいノートブックを作成して開き、ArcPy を使えるようにする以下のコマンドを実行します。
import arcpy # ArcPy を使用して 'Buffer_analysis' ジオプロセシング ツールの引数についてのヘルプを表示します。 print(arcpy.Usage("Buffer_analysis"))
参考サイト:指定したジオプロセシングツールの使い方を表示する
“import arcpy“ のコマンドを実行するだけでも、セル左側の [ ] 内に数字が表示されたら、処理成功です。
おわりに
ArcGIS Pro のバージョンがアップデートされるなど、さらに良い環境構築方法が見つかりましたら、またお知らせしていきます~
関連リンク集
ArcGIS 関連ページ
・ArcGIS API for Python(ESRIジャパン製品ページ)
・ArcGIS for Developers(ESRIジャパン製品ページ)
・ArcGIS for Developers 開発リソース集
・ArcGIS API for Python(米国Esri ページ(英語))
シリーズブログ 関連ページ
・ArcGIS API for Python を使ってみよう:できることや使いどころ
・ArcGIS API for Python を使ってみよう ①:Jupyter Notebook で使うための環境構築
・ArcGIS API for Python を使ってみよう:ArcGIS Pro からの環境構築 (ArcGIS Pro 2.1)
・ArcGIS API for Python を使ってみよう ②:ローカル端末から ArcGIS Online へデータを作成してみよう
・ArcGIS API for Python を使ってみよう ③:ArcGIS Online のアイテムを検索してみよう
・ArcGIS API for Python を使ってみよう ④:ArcGIS Online 上のアイテムを削除してみよう
・ArcGIS API for Python を使ってみよう ⑤:Web マップを作成してみよう
・ArcGIS API for Python を使ってみよう ⑥:解析ツールを使ってみよう
ArcGIS 開発リソース集
・ArcGIS for API for Pythonのコンセプト
・ArcGIS for API for Pythonのための基礎環境:conda入門