
はじめに
ArcGIS Pro SDK は ArcGIS Pro を拡張するアドイン開発ができる開発キットです。ArcGIS Pro のユーザー インターフェイスのカスタマイズや独自の機能を開発することができます。業務フローを効率的に実行するため、ArcGIS Pro をより使いやすく拡張することができます。
2025 年 1 月に ArcGIS Pro 3.4 がリリースされ、ArcGIS Pro SDK も ArcGIS Pro 3.4 のリリースとともにアップデートされました。本記事では ArcGIS Pro SDK のバージョン 3.4 で拡張された機能についてご紹介します。
ナレッジ グラフの強化
バージョン 3.4 ではナレッジ グラフの強力な編集機能が追加され、2D マップ、調査、またはリンク チャートに直接グラフ コンテンツを簡単に組み込んで操作できるようになりました。 主な機能は次のとおりです。
- ナレッジ グラフのコンテンツ編集:グラフのコンテンツを直接編集できるようになり、マップ内の関係やエンティティの可視化および管理において、より動的なアプローチが可能になります。
- 新しいナレッジ グラフのアソシエーション クラス:この強化により、エンティティ間のリレーションシップ行を作成および管理できるようになり、より複雑なグラフ構造の可能性が広がります。
- SchemaBuilder の強化:SchemaBuilder を使用すると、ナレッジ グラフ スキーマ内の要素を作成、変更、および削除することができます。これにより、開発者はナレッジ グラフの構造と情報の整理方法に対してより多くの制御を持つことができます。
- 行イベント サブスクリプション:新しいサブスクリプション機能により、グラフ行の編集中の変更を監視し、対応することができるようになります。これにより、より応答性が高くインタラクティブなアプリケーションをサポートします。
3D Analyst の強化
バージョン 3.4 では、堅牢な 3D アプリケーションの作成をサポートするために、パフォーマンス重視の改良がいくつか施されています。
- LAS ポイント カーソルのパフォーマンス向上:事前に割り当てられた配列を活用することで、LAS ポイント カーソルのパフォーマンスが向上し、点群データの処理が高速化され、スムーズな操作が可能になります。
- 標高クエリ:開発者は、TIN および標高ラスター データセットに直接標高クエリを実行できるようになり、地表情報の取得が容易になり、標高データを 3D ビジュアライゼーションに統合しやすくなります。
- サーフェス補間: サーフェス レイヤーのラインとポリゴン補間の新しいオプションにより、より視覚的に正確な 3D 表現が可能になりました。
レイアウトの強化
ArcGIS Pro SDK 3.4 では、レイアウトを扱うユーザー向けに、レイアウト マップ フレーム用の新しいグリッド スタイル アプリケーションが追加されました。
- グリッド スタイル アプリケーション:レイアウト ビューでマップ フレームに特定のグリッド スタイルを適用できるようになり、印刷および共有するマップの外観と一貫性が向上しました。
マップの作成
いくつかの新しいマップ作成機能により、複雑なマップの作成とエクスポートが容易になりました。
- レイヤーの一括読み込み:LayerFactory と BulkLayerCreationParams を使用することで、複数のレイヤーを一度にマップに読み込むことができ、大規模または複雑なデータセットのマップ設定プロセスを効率化します。
- ポイント シンボルのエクスポート:SymbolFactory を使用すると、ポイント シンボルマーカーを PNG、JPEG、GIF、BMP、SVG などの形式にエクスポートすることができます。これにより、さまざまなプラットフォームでシンボルを共有および使用する可能性が広がります。
ジオメトリの強化
バージョン 3.4 のジオメトリ ツールには、空間検索や操作を容易にするためのいくつかの更新が含まれています。
- Z 値の削除:この新しい機能を使用すると、ジオメトリから Z 値 (標高) を簡単に削除でき、特定の 2D 分析や可視化に役立ちます。
- ポイントおよび距離のクエリ:強化された測地法により、曲線を扱うことが容易になり、複雑な形状の距離の計算やポイント クエリに対して、より正確で柔軟なオプションが提供されました。
ジオデータベースの強化
バージョン 3.4 の新しい機能は、リニア リファレンスと強化されたルート管理をサポートします。
- ルートの作成と編集:ジオデータベース内でルートをより効率的に作成および編集できるようになりました。これは、交通やユーティリティ ネットワークなど、リニア リファレンス システムに依存するアプリケーションにとって貴重なツールです。
その他の更新
その他のアップデートで強化された機能については、API リファレンスの「What's New for Developers at 3.4」の「API Changes」セクションを参照してください。
まとめ
本記事では ArcGIS Pro SDK バージョン 3.4 で追加された主な新機能についてご紹介しました。ArcGIS Pro SDK を使用し独自の機能をもったアドインを作成することで、ArcGIS Pro の拡張ができますので、ArcGIS Pro のカスタマイズを検討している方はぜひご活用ください。
関連リンク