ArcGIS Online や ArcGIS Enterprise を使用することで、マップや Web アプリといったアイテムを組織のメンバーと共有して共同作業することができます。しかし、他の組織と共同作業したい場合はどうすればよいでしょうか。例えば、自然災害や疫病といった緊急事態では、他の組織と迅速に連携をとる必要があります。そこで重要になるのが「コラボレーション」です。本ブログでは、ArcGIS におけるコラボレーションについて紹介します。
ArcGIS におけるコラボレーションとは、マップ、Web アプリ、レイヤーといった多くのアイテムを他の組織と共有するための仕組みのことであり、組織をこえてデータの共有や管理が可能になります。コラボレーションは、参加する組織間の信頼関係を基礎として、共通の目標をもって主導的に取り組むことで促進されます。
コラボレーションには、構成する ArcGIS 製品によって、パートナー コラボレーションと分散コラボレーションの 2 種類があります。
コラボレーションの例
パートナー コラボレーションは、ArcGIS Online 組織同士によって構成されます。2 つ以上の組織がパートナーコラボレーションを作成すると、組織間の信頼関係が構築され、メンバーがグループを使用して密に連携して共同作業したり、相互のコンテンツを共有したりできるパートナーシップに参加します。各組織は、コラボレーションに最大で 20 人までをメンバーとして設定することができます。
パートナー コラボレーションは、共有機能の拡張によって、通常のグループ共有ではサポートされていない機能を利用することができ、組織が連携できる方法が広がります。パートナー コラボレーションでは、以下の 2 つの項目に関して特徴があります。
パートナーコラボレーションの概念
各組織は、組織を代表するコラボレーション コーディネーターとなるメンバーを設定します。コラボレーション コーディネーターは、グループの作成と管理を行い、組織のメンバーをグループに招待することができます。
グループのメンバーは、グループ内の別の組織のメンバーを表示・検索する際に、組織名を簡単に識別することができます。
アイテムをグループと共有すると、グループの他のメンバーがそのアイテムにアクセスできるようになります。グループが共有更新グループとして設定されている場合、そのグループと共有されているアイテムは、全てのグループ メンバーによる編集が可能です。アイテムをコラボレーション グループと共有すると、参加者は組織の内外 (参加している他のコラボレーションを含む) でもう一度コンテンツを共有することができます。
分散コラボレーションは、ArcGIS Online 組織と ArcGIS Enterprise 組織、または ArcGIS Enterprise 組織同士によって構成されます。分散コラボレーションでは、管理者がワークスペースを作成し、ワークスペースにグループをリンクして、ゲストを招待します。
分散コラボレーションは 1 つのホストと、1 つ以上のゲストから構成されます。ArcGIS Online 組織が参加しているコラボレーションでは、常に ArcGIS Online 組織がホストになります。そのため、2 つ以上の ArcGIS Online 組織が参加する分散コラボレーションを作成することはできません。また、ArcGIS Enterprise 組織は一度に 1 つの ArcGIS Online 組織とのみ共同作業できます。
分散コラボレーションの構成
分散コラボレーションでは、以下のアイテムを共有することができます。
・ Web アプリ (ArcGIS Enterprise から ArcGIS Online でのみ共有できます。)
・ マップ
・ シーン
・ レイヤーとビュー
・ ファイル
・ イメージレイヤー
・ Insights アイテム
ホストは参加者ごとにアクセスモードを送信 / 受信 / 送受信のどちらにするか選択できます。
また、ホストは、ワークスペースごとにレイヤーとビューの共有方法を参照 / コピーから選択して共有します。それ以外のアイテムに関しては、参加者ごとに設定した同期設定に基づいて共有されます。レイヤーとビューの共有方法である参照とコピーについて詳しく説明します。
参照の場合、共有されるレイヤーやビューを参照する新しいレイヤーが参加するポータルごとに作成され、データは保存されません。
編集・変更された内容はリアルタイムに閲覧することができます。
レイヤーの共有方法が「すべてのユーザー」に設定されていない場合、元のポータルサイト、または組織サイトにアクセスできる必要があり、認証が必要になる場合があります。ArcGIS Enterprise 10.8.1 以降では、資格情報をレイヤーに保存することで、認証なしで閲覧することが可能です。
ホストとゲストはデータの編集や、クエリーといった同じ機能を持ちます。
コピーの場合、アイテムが作成され、コピーされたデータを使用してコラボレーション参加者のフィーチャ レイヤーが公開されます。
編集内容は設定された同期間隔に基づいて共有されます。同期間隔は、最低 1 時間から、最長 24 時間まで設定することができます。手動で同期を行うことで、設定された同期の間隔を待たずに同期することが可能です。
ArcGIS Enterprise 10.9 以降では、アイテムの所有者からの片方向の編集に加えて、所有者と受信者による双方向の編集が可能になりました。詳細な情報については、コラボレーション グループ間でのコンテンツの共有をご覧ください。
参照とコピーの比較については、以下の表をご覧ください。
参照とコピーの比較
参照 | コピー | |
同期間隔 | リアルタイム | 設定された間隔 (手動で同期することで、間隔を待たずに同期できます) |
データの保存 | なし | あり |
認証 | 必要 (設定することで、必要なし) | 必要なし |
編集 | ホストとゲストが同じ機能を持つ | アイテムの所有者による片方向 または、双方向 |
本ブログでは、ArcGIS におけるコラボレーションについて紹介しました。コラボレーションの作成に関する詳細な情報については、パートナー コラボレーションの作成、および分散コラボレーションの作成をご覧ください。コラボレーションを活用することで、他の組織と効率的にアイテムの共有や編集が行えますので、ぜひお試しください。
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