ArcGIS Enterprise のコンポーネントの 1 つに Portal for ArcGIS があり、GIS コンテンツの管理や共有、アプリケーションの作成を可能とするポータル サイトを構築します。この Portal for ArcGIS に独自に作成したジオプロセシング サービスを公開し、ArcGIS Pro でサービスの操作や、Web アプリケーションなどで活用することができます。本ブログでは、Portal for ArcGIS にジオプロセシング サービスを公開する流れをご紹介します。
ジオプロセシング サービスでは、データの解析、管理、変換の各ツールが提供されます。 このサービスは、サーバー サイトに公開されたジオプロセシング ツールのコレクションであり、操作および解析するために必要なタスクを実行し、ArcGIS Enterprise のコンポーネントの 1 つである ArcGIS Server でカスタム解析ツールを共有できます。共有されたジオプロセシング サービスは、あらゆるクライアント アプリケーション (ArcGIS Maps SDK for JavaScript、ArcGIS Web AppBuilder) で利用でき、解析結果など出力されるデータはサーバー サイトに格納されます。
ジオプロセシング サービスを作成するには、通常 ModelBuilder または Python (ArcPy) を使用してジオプロセシング ツールを作成し、ドキュメント化します。ドキュメント化したツールをサービスとして共有することで Portal 上から参照したジオプロセシングツールとして利用できるようになります。また、独自にモデルを組み合わせることができるので、標準では対応できない機能にも柔軟に対応しています。なお、本ブログでは、ModelBuilder で作成した、バッファーを生成するジオプロセシング サービスの公開を例としてご紹介します。公開までは下記のステップで進めていきます。
①ArcGIS Pro で、ジオプロセシング サービスを作成
②ジオプロセシング サービスを Portal for ArcGIS に公開
③公開したジオプロセシング サービスの実行
①ArcGIS Pro で、ジオプロセシング サービスを作成
ArcGIS Pro を起動し、[解析] タブの [ModelBuilder] をクリックか、[カタログ] ウィンドウで既存のツールボックスまたはツールセットを右クリックします。[新規作成] > [モデル] の順に選択すると、新しい空のモデルが開きます。
続いて作成したい機能を持ったジオプロセシング ツールを空のモデルに追加して、データとツールを接続します。その後、ツール パラメーターの変更や、モデル パラメーターの設定を行います。モデル パラメーターの設定では、最終的な出力になる項目をパラメーターとして指定する必要があります。この設定がないと、サーバー内で処理が完結してしまい、出力結果をクライアントが利用できません。ModelBuilder での作成に関しての詳細はこちらをご覧ください。
ModelBuilder での作成が完了しましたら、ArcGIS Pro のマップで実行できるか確認します。
②ジオプロセシング サービスを Portal for ArcGIS に公開
[解析] タブの [履歴] から最近実行した結果を右クリックして、[共有]、※[Web ツールの共有] の順に選択していきます。[Web ツールの共有] ウィンドウが開きましたら、アイテムの詳細や、公開するサーバーおよびフォルダーを指定します。[分析] ボタンをクリックして、問題がないことが確認できましたら、[公開] ボタンをクリックして、Portal for ArcGIS に公開します。
※履歴から公開するのは、ジオプロセシング サービス共有時の設定や実行をする際のデフォルトのパラメーターの定義に必要なためです。
③公開したジオプロセシング サービスの実行
公開されたことが確認できましたら、Portal for ArcGIS のMap Viewer Classic で実行できることを確認します。(Map Viewer では不可) [コンテンツ] で、公開したジオプロセシング サービスをクリックして、[Map Viewer Classic で開く] を選択します。[解析] タブの中にサービスがあることを確認し、実行します。
ジオプロセシング サービスを公開する流れは以上となります。公開したサービスは ArcGIS Pro や Map Viewer Classic をはじめとした Web アプリケーションなど様々な場面で活用することが可能です。是非ご活用ください。
本ブログでは、ArcGIS Pro でジオプロセシング サービスを Portal for ArcGIS に公開する流れをご紹介しました。ジオプロセシング サービスを作成して、公開することは ArcGIS Online にはできない ArcGIS Enterprise 特有の機能ですので、是非お試しください。
ESRIジャパン 製品ページ
・ArcGIS Pro: モデルの作成と実行 (ModelBuilder)
米国 Esri 製品ページ
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