ArcGIS Enterprise を運用するうえで避けて通れないのが「ライセンス設計」です。
誰に、どの機能を、どこまで使わせるのか、その判断を誤ると、業務に必要な操作ができなくなるだけでなく、逆に不要なコストや権限を与えてしまうことになります。
本ブログは「ArcGIS Enterprise ライセンス入門」と題して、ユーザー タイプ・メンバー ロールに関してご紹介します。
なお、本ブログでは ArcGIS Enterprise 11.5 を対象としておりますので、ご注意ください。
組織は、さまざまな役割を持ち、固有のタスクを実行する多くの人々で構成されています。
そのため、ArcGIS では使用できる機能とアプリケーションを組み合わせた複数のユーザー タイプを提供しています。作業に必要なユーザー タイプを選択することで、柔軟にライセンスを構成できます。利用者 1 名に対し 1 つのユーザー タイプ ライセンスが必要です。ArcGIS Enterprise を購入すると、Creator と Viewer のユーザー ライセンスが一定数付属します。
例えば、ArcGIS Enterprise Advanced であれば、Creator が 25 個、Viewer が 500 個割り当てられます。必要に応じて追加のユーザー タイプを購入することも可能です。
ユーザー タイプは全部で 6種類あり、3 種類の基本ユーザー タイプと、3種類の従属ユーザー タイプに分かれています。
基本ユーザー タイプ は、Creator、Professional、Professional Plus の3 種類です。単独で購入することも、任意の基本ユーザー タイプまたは従属ユーザー タイプと組み合わせて購入することもできます。
従属ユーザー タイプは、Viewer、Contributor、Mobile Worker の3 種類です。少なくとも 1 つの基本ユーザー タイプと合わせて購入するか、既存の ArcGIS Enterprise 組織に追加する必要があります。
・Creator
基本的な機能を有しており、ArcGIS Pro Basic を利用できます。
マップやアプリを作成・共有に加え、データを分析し傾向を把握することが可能です。現地調査の管理者、指令係、GIS 担当、データ サイエンティスト、アナリスト、研究者などに適したユーザー タイプです。
・Professional
Creator と同等の機能に加えて、ArcGIS Pro Standard を利用できます。
ArcGIS 全体の高度な編集機能とデータ管理機能にアクセスできます。ArcGIS でミッションクリティカルな記録システムの設計、管理が可能です。また、組織全体で情報の品質と信頼性を向上させるデータ標準を確立するのに適したユーザー タイプです。
・Professional Plus
Professional と同等の機能に加えて、ArcGIS Pro Advanced とエクステンションを利用できます。
高度なカートグラフィー (地図調製) の作成や、ビッグ データの規模までの総合的な分析の実施が可能です。さらに独自のモデルの開発に加え、事前構築済みの機械学習モデルやディープラーニング モデルを活用した、高度な解析も可能です。
・Viewer
組織内で共有されたマップやアプリの閲覧が可能です。
作業の進捗をダッシュボードで監視できるため、CEO や経営幹部、マーケティング担当者などに適したユーザー タイプです。
・Contributor
データ編集を行うことができ、マップや Web アプリ上でデータ編集作業が行えます。
営業担当や調査員が Map Viewer や Web アプリ上でデータを更新する場合などに適したユーザー タイプです。
・Mobile Worker
データ編集機能に加えて、スマートフォンやタブレットにインストールして使う現地調査アプリを利用できます。
現地でオフライン作業を行う場合や高精度のデータ入力が求められる業務に適したユーザー タイプです。
各ユーザー タイプの違いについては以下の表をご参照ください。
ユーザー タイプごとに含まれる、より詳細なアプリや機能といった情報は以下のページをご参照ください。
メンバー ロールは、ソフトウェア内で、どのタスクができるかといった、細かな権限を決定します。権限にはあらかじめ設定されている 5 つのデフォルト ロールと、ユーザーが独自に設定できるカスタム ロールがあり、これらのロールをメンバーに割り当てます。メンバーは組織サイトに追加されるときにロールが割り当てられます。メンバー ロールは、いつでも変更することが可能です。
メンバー ロールとユーザー タイプは密接に関係しています。
ユーザー タイプはいわば、そのユーザーが利用可能な機能やアプリケーションの上限を決定し、メンバー ロールはその範囲内で実際に実行できる操作を制御します。
そのため、メンバー ロールで付与できる権限は、ユーザー タイプで許可された範囲に限定されます。
・閲覧者
すべてのユーザー タイプに割り当てることができます。
他のユーザーによって作成されたマップやアプリを閲覧できます。また、組織が所有するグループに参加できるだけでなく、ジオコーディング、ジオサーチ、ネットワーク解析 (ルート検索およびルート案内) を使用できます。
閲覧者ロールが割り当てられたメンバーは、コンテンツの作成や共有はできません。また、解析や情報の追加・更新も実行できません。
・データ編集者
Viewer を除くすべてのユーザー タイプに割り当てることができます。
閲覧者ロールと同じ権限に加えて、他の ArcGIS ユーザーが共有するフィーチャを編集できます。
・ユーザー
基本ユーザー タイプ (Creator、Professional、Professional Plus) に割り当てることができます。
データ編集者ロールと同じ権限に加えて、グループおよびコンテンツを作成できます。
組織サイトのマップ、アプリ、レイヤー、ツールを利用できるほか、グループ内のすべてのアイテムを更新できるグループに参加できます。また、ユーザー ロールが割り当てられたメンバーは、マップとアプリの作成、フィーチャの編集、アイテムの追加、コンテンツの共有、グループの作成も実行できます。
・公開者
基本ユーザー タイプ (Creator、Professional、Professional Plus) に割り当てることができます。
ユーザー ロールと同じ権限に加えて、ホスト Web レイヤー、ArcGIS Server レイヤーの公開、データ ストアの登録、データ ストア アイテムからの公開、フィーチャおよびラスター解析の実行を行う機能が含まれます。
・管理者
基本ユーザー タイプ (Creator、Professional、Professional Plus) に割り当てることができます。
公開者ロールと同じ権限に加えて、組織および他のユーザーを管理する権限が含まれています。組織には少なくとも 1 人の管理者が存在している必要があります。
組織内で管理者ロールに割り当てることができるメンバー数に制限はありませんが、セキュリティー上の観点から、必要なメンバーだけに管理者ロールを割り当てることを推奨します。
各メンバー ロールの違いについては以下の表をご参照ください。
メンバーに付与される権限に対してより詳細な制御が必要な場合は、カスタム ロールを作成できます。例えば、デフォルト ロールを元にカスタム ロールを作成し、特定の権限だけ無効にしたロールを作成できます。
カスタム ロールを作成および変更できるのは、デフォルトの管理者ロールまたは、[メンバー ロール] 権限を持つカスタム管理者ロールを割り当てられたメンバーだけです。
また、カスタム ロールを使用して付与される権限も、メンバーのユーザー タイプに関連付けられた権限を超えることはできません。例えば、Viewer のユーザー タイプを持つメンバーに編集権限を持つロールを割り当てることはできません。
ユーザー タイプと互換性のあるメンバー ロールに関しては以下の図をご参照ください。
また、メンバー ロールのより詳細な情報に関しては、以下のページをご参照ください。
メンバー ロール—Portal for ArcGIS | ArcGIS Enterprise のドキュメント
ArcGIS Enterprise の組織に新しいメンバーを追加する際は、まずそのメンバーがどのような業務を行うのかを整理することが重要です。
次に、その業務に必要な機能やアプリケーションをもとに、適切なユーザー タイプを選択します。
ユーザー タイプを割り当てた後、実際に組織内でどの操作を許可するかを決めるために、メンバー ロールを設定します。デフォルト ロールを利用するほか、必要に応じてカスタム ロールを作成することで、業務内容に応じた柔軟な権限管理が可能です。
このように、「業務内容の整理 → ユーザー タイプの選定 → メンバー ロールの割り当て」という流れでメンバーを追加することで、適切な権限管理とライセンスの最適化を実現できます。
ArcGIS Enterprise のユーザー タイプとメンバー 管理を理解することで、より効率的なメンバーの管理とコストの最適化を実現できます。ぜひ、組織のユーザー タイプやメンバー ロールを見直してみてください。
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