こちらは、ArcGIS アドベント カレンダー 2025 の 18 日目の記事です。他の記事もぜひご覧ください。
ArcGIS では、フィーチャが持っている属性データを確認する方法としてポップアップがあります。ポップアップではただ属性データを表示するだけではなく、さまざまな表現をすることができます。ポップアップで行える表現方法を 3 回に渡って紹介します。今回は第 3 弾として、ポップアップをより魅力的にする方法について紹介します。本記事は、米国 Esri 社のブログ記事「Elevate Your Pop-Ups with Arcade」を翻訳したものを、一部加筆・変更したものです。
ポップアップで行える表現方法について書いたブログの第 1 弾と第 2 弾も併せてご確認ください。
情報を伝える地図を作成するのは、特に大規模で複雑なデータセットを扱う場合、難しいことがあります。このブログでは、Arcade を活用して包括的で動的なポップアップを作成し、Web マップを強化する方法のいくつかの例を紹介します。これにより、地理的なアプローチを適用して、ユーザーがデータをより深く理解できるようになります。
Arcade は、ArcGIS 製品や API 全体で利用できるスクリプト言語です。式は、新しいフィールドの計算、データの整形、動的コンテンツの作成に使用されます。すべての処理はリアルタイムで行われるため、基盤となるデータ自体を変更することはなく、表示方法を強化するだけです。
以下の例では、基本的なものから高度なものまで、さまざまな式を使ってポップアップを構築し、異なるデータセットを補完・強化する方法を紹介します。
新しく公開された Global Hexagons for Biodiversity and Conservation layers レイヤーは、ポップアップが地図との対話体験をどれほど豊かにできるかを示すうえで、優れた基盤を提供します。これらのレイヤーには、20 種類以上の異なるデータセットを要約した 50 以 上の属性が含まれており、生物多様性と保全に関する重要なデータを一か所に集約しています。
ポップアップに情報を表示する際には、データの書式設定が重要です。次の例では、Text() 関数を 「carb_bio」 (炭素バイオマス合計:トン/ヘクタール)のフィールドに適用しています。出力はテキスト値に変換され、千単位でのグループ化や有効数字の指定が可能になります。
ポップアップ用に値を整形することで、デフォルトの値一覧よりも明確さが増します。数字は基本ですが、それだけではなく、もっと工夫できます。
2050 年における人口と予測される土地被覆の脆弱性の関係を見てみましょう。シンボル情報は、数値を視覚的に表現する優れた方法ですが、Arcade の式を使えば、見えている情報に物語性や背景を加えることができます。
上記の式では、When() 関数を使って条件文を作成しています。選択された六角形が条件を満たす場合、数値ではなく説明文を返します。これは、数値をユーザーにとってより直感的な情報に変換するための有効な方法です。さらに、このロジックに HTML を組み合わせることで、ポップアップに地図のシンボル情報を補完するメッセージを表示できます。
ポップアップでテキストと組み合わせられるもうひとつの要素はチャートです。チャートは、ポップアップ内の他のコンテンツを結びつけるインタラクティブな方法を提供します。
上記のGlobal Hexagons レイヤーを使った例は、Arcadeがどのように生データの値を変換し、レイヤー内のすべてのデータを要約する文脈を持ったポップアップを作成できるかを示しています。以下は、Global Hexagons レイヤーに含まれる基本的なポップアップのプレビューです。ぜひ自分のマップに追加して、Arcadeを試してみてください。
マップを操作して、これらの例が実際にどのように機能するかを確認できます。
属性が少ないレイヤーを扱う場合、情報量のあるポップアップを作成するのは難しくなることがあります。次の例では、人口データと、クロクマの生息確率(probability of presence)に関する最小値・最大値・平均値を含む Hexagons レイヤーを使用します。
Arcade のジオメトリー関数を使うことで、選択した六角形に対する条件を文脈化し、人口とクロクマの最大生息確率の関係を確認できます。
現在のデータから可能な限り情報を引き出した後は、Arcade の FeatureSetByPortalItem() を使って補足データを取り込むことができます(レイヤーをマップに追加する必要はありません)。ここで、ArcGIS Living Atlas of the World のコンテンツが大きな価値を発揮します。
たとえば、クロクマの生息状況を調べるために、USA Parks レイヤーを取り込むことができます。これにより、選択したフィーチャと交差する公園の数、公園の種類、そして最大の公園の名前と面積を詳しく説明するテキストスニペットを作成できます。
関連する別のデータセットとして、学校区の特性があります。これには、学校数、生徒数、教師数といった属性が含まれています。
Arcade で何かを実現する方法は、たいていひとつではありません。データの整形、ロジックの構築、ビジュアルの追加など、Arcade は柔軟性を提供し、創造的な工夫を可能にします。
たとえば、チャートを定義するためにメディア要素を使う代わりに、HTMLを使ってより静的な棒グラフを作成することもできます。
Living Atlas のコンテンツを取り込んだ例を確認するには、このマップをチェックしてみてください。
ArcGIS Arcade Assistant(ベータ版)は、ArcGIS Online に新しく追加されたツールで、Arcade の式をステップごとに作成するのをサポートします。ガイド機能、構文のヒント、リアルタイムのプレビューが組み込まれているため、動的なポップアップやラベルなどを簡単に作成できます。高度なコーディング スキルは不要です。
詳しくは、このブログをご覧ください。
Arcade は、情報量のある地図やユーザー体験を柔軟に作成できる機能を提供します。既存のデータに価値を加えるだけでなく、動的に追加情報をマップに取り込むことも可能です。これらの例はすべて ArcGIS Online で実施されており、ArcGIS Pro で結合や編集を行うことなく、異なるレイヤーを組み合わせています。
このブログで使用したマップ(Global Hexagons と Black Bears)のライブ版をチェックして、Arcade の式をさらに詳しく探ってみてください。