ArcGIS Platform は 2021 年 5 月に国内サービスを開始した地図アプリ開発者のための PaaS 製品です。
ArcGIS Platform の詳細は、ブログ記事「ArcGIS Platform (PaaS) の国内サービスを開始しました!」をご覧ください。
この記事では、ArcGIS Platform で利用できるロケーション サービスの種類と価格についてご紹介します。
開発者は、ここで紹介するロケーション サービスを利用して、アプリや業務システムなどに組み込んで利用することができます。また、開発キットとして API/SDK も多く提供されていますので、API/SDK を利用してロケーション サービスを活用したアプリを開発することも可能です。
ArcGIS Platform で利用できる API/SDK の詳細は、ブログ記事「ArcGIS Platform の紹介 ~API/SDK のラインナップと使い分け~」をご覧ください。
まず、提供しているロケーション サービスについては、下記の 6 個のサービスが用意されています。それぞれのサービスについて、以降で詳細をご説明いたします。
用途に合わせて選択できる多数のベースマップを用意しています。
例えば、道路を強調している「道路地図」では、どの道路沿いに店舗が多いかを確認したい時に利用したり、店舗の周辺環境を現実世界に近い状態で見たい時には「衛星画像」を利用したりなど、用途に合わせてベースマップを選択していただけます。
下記の動画では、9 種類のベースマップを連動させて表示しています。衛星画像や、グレーをベースとしたもの、カラー鉛筆で描いたようなもの、その他にも OpenStreetMap など様々なベースマップが用意されています。
また、ベースマップは自由にデザインをカスタマイズしていただくこともできます。
下記動画では、ナビゲーションというベースマップをカスタマイズしています。手動で、水辺の青色を濃くしたり、自然の緑の色を濃くしたり、またランダムに色を割り当てることも可能です。設定したデザインは保存することができますので、カスタマイズしたベースマップを自由にアプリの中で利用していただけます。
様々なデータをセキュアにホスティングしておくことができます。CSV や Excel、GeoJSON、シェープファイルなどのデータをクラウド上に取り込んでWebサービスとしてホスティングすることができます。
Webサービスは設定ひとつで一般公開することもできますしプライベート データとしてセキュアにホスティングすることもできます。
ホスティングしたWebサービスは表示したり、図形や属性情報をクエリしたり、編集したり、分析に使用したりできます。
また、高度な機能として、ホスティングしているデータに対して、現地調査で撮影した写真や動画、関連するPDFドキュメントなどを紐づけて管理するアタッチメントという機能も用意されています。
その他、データにリレーションシップを持たせて管理することも可能です。
下記は、国土地理院が提供している球磨川の氾濫した際の浸水推定図の GeoJSON のデータを ArcGIS Platform でセキュアにホスティングしています。
データの形状や属性など、データの特性に応じて様々な表現を行うことができるスマート マッピングという機能が用意されています。
下記画像では、人口などの属性を等級色で表現したり、風向、風速、気温のデータをシンボルの向き、大きさ、色を使って表現したり、クラスタリングで表現しています。
また、2D だけでなく 3D で表現することもでき、地球を表現したり、地形を表現したり、BIM/CIM の建物データを表現することもできます。
住所から位置を検索するジオコーディング、緯度経度から住所を検索するリバース ジオコーディングが行えます。1 つのリクエストで複数の住所検索を行うバッチ ジオコーディングにも対応しています。また、検索した結果を保存しておいて再利用することも可能です。
また、グローバルに対応した住所検索、地名検索が行えます。
下記の動画では地名検索を行っており、ユニバーサルと検索すると地名の候補が表示され、選択すると実際の場所にズームしています。
道路の距離や運転時間などを利用して、様々な交通ネットワーク解析を行うことができます。
目的地への適切なルートを算出する「ルート検索」や、指定した時間や距離内で到達できるエリアを検索する「到達圏解析」、車 2台で6か所を回る際の効率の良いルートを検索する「配車ルート解析」、複数の出発地から複数の目的地までの移動時間や移動距離などのコストを算出する「OD コスト マトリックス」などが用意されています。
下記動画では、渋谷駅から恵比寿駅までの徒歩でのルートを検索しています。検索した結果に基づいて、経路の案内を表示しています。
ArcGIS Platformではすぐに利用できるマップとデータを提供しています。
地図を 3D で表示するための標高データや地形データ、また人口や年収などの統計データも用意されています。その他にも、地震や台風などの気象災害のデータ、二酸化炭素濃度や干ばつなどの、気候・環境に関するデータも用意されています。
下記画像の左側は、クリックした地点から10マイル (メートルでも可能) の男女別人口数や世帯規模の平均を取得しています。右側は、2021年3月20日に発生した地震の震源地と影響範囲を表示しています。
下記サイトでは、気象災害や気候・環境に関するデータが集約されています。
ArcGIS Platform の価格体系は、ロケーション サービスの使用量に応じて料金が決まる従量制の価格モデルです。
開発者アカウントを作成することで利用することができ、ロケーション サービスごとに毎月一定の無料利用枠が用意されているため、すぐに利用していただくことができます。無料の利用枠を越えて利用する場合はクレジット カード登録が必要です。事前に使用量に応じた価格の見積もりができるようになっています。
ロケーション サービスの使用量に応じた価格を見積もるためのツールが用意されています。
一つ目が、ベースマップのタイル リクエスト数を見積もる Web アプリの「Tile estimator」です。
下記動画では、日本付近の地図を動かすと、左下のタイル数が増えていき、想定される操作でどれくらいのタイルがリクエストされるかを見積もることができます。
タイル数の見積もりが終わったら、次に「ArcGIS Platform pricing」を利用して、ロケーション サービス全体で毎月どれくらいの費用がかかるかを見積もります。
下記動画では、以下の利用ケースを想定して価格のシミュレーションを行っています。
ここまでご紹介してきた ArcGIS Platform のロケーション サービスと価格の特徴を下記にまとめています。機能ごとに無料枠が充実していますので、すぐに開発や機能評価をしていただけます!ぜひお試しください!