ArcGIS Maps SDK for Flutter ベータ版の発表
ArcGIS Maps SDK for Flutter のベータ版がリリースされました。本記事では、リリースのお知らせと SDK の概要を、米国Esri社の「Announcing the new ArcGIS Maps SDK for Flutter beta」の記事を翻訳してご紹介します。
はじめに
最初の ArcGIS Maps SDK for Flutter パブリック ベータのリリースにより、開発者は ArcGIS の機能を備えたクロスプラットフォームのネイティブ モバイル アプリケーションを作成する新しい方法を手に入れることができます。
このブログ記事では、新しい ArcGIS Maps SDK for Flutter の主な機能やメリット、Flutter 自体についてご紹介します。
ベータ版へのアクセスは Esri の Early Adopter サイトから行えますが、ArcGIS Maps SDKs for Native Apps ファミリーに新たに加わったこの SDK の詳細についてはこの記事をご覧ください！
Flutter
Flutter は Google によって作られたオープンソース技術で、その豊富なツールと生産性機能、強力な開発者コミュニティ、迅速な開発サイクルにより、クロスプラットフォームのモバイルアプリ開発において急速に人気が高まっています。Flutter フレームワークは、Dart（簡潔でモダンなプログラミング言語）をベースとし、ネイティブにコンパイルされたクロスプラットフォーム アプリケーションを構築するために設計された、リアクティブで宣言的な UI フレームワークです。そのファーストクラスのツール環境と迅速なアプリのプロトタイピングにより、開発者はアプリのデザインをシームレスに構築し、繰り返し利用することができます。
ArcGIS Maps SDK for Flutterのリリースを決定した理由については 、以前のブログ記事をご覧ください。
ArcGIS Maps SDK for Flutter ベータ
Flutter Maps SDK は、Flutter の利点や機能と、ArcGIS Maps SDK for Native Apps の地理空間機能や位置認識機能を組み合わせたものです！すでに Native SDK ファミリーに慣れ親しんでいる方は、マッピング、ジオコーディング、ルーティング、オフライン API など、この最初の Flutter Maps SDK ベータの機能にすぐになじむことができるでしょう。
ベータ製品として、SDK には段階的に機能が追加されます。この最初のベータ版は、基本的なオンライン/オフライン 2D マップ表示、ジオコーディング、ルーティング、データ編集ワークフローに重点を置いています。他のネイティブ SDK と同等になるまで、新しいリリースごとに機能を追加していく予定です。詳細については、Early Adopter サイトをご覧ください。
Flutter Maps SDK ベータ版の機能の概要を知っていただくために、GitHub にArcGIS Maps SDK for Flutter のサンプル リポジトリを用意しました。このリポジトリには新しいサンプルが随時更新され、SDK 全体の重要な構成要素となっています。
ArcGIS Maps SDK for Flutter ベータ版の機能を示すさまざまなサンプルを確認できます。
このリポジトリには、Flutter Maps SDK ベータの機能と、それを自分のアプリで使う方法を示すサンプルコードが含まれています。典型的な Native SDK のワークフローを Flutter アプリで動作させる方法を、以下のようなサンプルとともに説明しています。
レイヤー | レンダラー | シンボル表示 |
マップ表示 | ジオメトリ | ルーティング |
ジオコーディング | 属性表示 | オフライン ワークフロー |
クエリ | フィーチャ | ロケーション |
データ表示 | 認証 | モバイル マップ パッケージ |
このリポジトリには、iOS や Android のシミュレーターやデバイス上で実行できるサンプル ビューアー アプリも付属しており、開発者はサンプルを簡単にまとめて見ることもできますし、個別に実行することもできます。
ArcGIS Maps SDK for Flutter ベータ リポジトリにあるサンプルセットでは、デバイスの位置、拡大鏡、ルーティングなどの機能が紹介されています。
Early Adopter サイトから Flutter Maps SDK ベータ パッケージをダウンロードし、スタートアップの指示に従ったら、最初の Flutter Maps SDK アプリを作る準備は完了です。Flutter では、1つのコードベースからアプリを構築し、iOS と Android の両方のエミュレーターやデバイスで実行できることを覚えておいてください。
次に、Flutter を使ったビルドの主なコンセプトと、それらを ArcGIS の機能とどのように組み合わせて使えるかを説明します。
Flutter Widget
Flutter のコアコンセプトは、UI が Flutter Widget で構築されるということです。ウィジェットはアプリの UI の構成要素で、レイアウトとインタラクティブ要素の両方を定義し、状態も管理します。
いずれかの Native SDK でアプリを作成すると、マップ ビューがマップ レイヤーとグラフィックを表示するユーザーインターフェイスとして機能します。Flutter Maps SDK のベータ版では、ArcGISMapView クラス自体もウィジェットになっており、アプリケーションのどこにマップを配置するかを完全にコントロールできます。例えば、Flutter Stack ウィジェットでラップして UI コントロールを上に重ねたり、Flutter Expandedウィジェットでラップしてアプリ画面の残りのスペースを埋めたりできます。
Set Basemap サンプルの Stack ウィジェット内の ArcGISMapView ウィジェットを示すウィジェットツリーの例
既存のウィジェットを新しいウィジェットでラップして、アプリのデザイン要件に応じて削除することで、Flutter 用に選択した IDE でウィジェットを簡単にリファクタリングすることもできます。Flutter のウィジェットツリーは、アプリのデザインのアーキテクチャを理解するための簡単な参照方法を提供します。
アプリのデザインを念頭に置いて、Flutter のホットリロード機能の話題に移りましょう。それは、再コンパイルすることなく、デバイスやエミュレーター上で UI レイアウトがライブで更新されます。
Hot Reload
Flutter の人気機能は Stateful Hot Reload（別名ホットリロード）です。これは Dart Virtual Machine (VM) に更新されたコードを挿入することで動作し、VM が更新されると Flutter はウィジェットツリーを再構築します。
例えば、Flutter エンジニアの Jennifer Merritt が Palm Springs で開催された 2024 Developer Summit で実演したように、コードを更新してアプリ内のボタンを移動させることができます。
ホットリロードのもう1つの例を以下に示します。紫色のテーマから白と青のアプリテーマにスタイルを更新することで、アプリのデザイン変更を素早くプロトタイプ化します（このケースでは Set Basemap サンプルを使用）。
ホットリロードを使用して ArcGIS Maps SDK for Flutter アプリのデザイン変更を簡単に確認する例
さいごに
新しい ArcGIS Maps SDK for Flutter のベータ版をぜひお試しください！ベータ版は Early Adopter サイトからアクセスでき、GitHub の ArcGIS Maps SDK for Flutter サンプル リポジトリからサンプルをチェックできます。ArcGIS の機能と Flutter の生産性を組み合わせて、クロスプラットフォームのモバイル アプリケーションを構築してください。
Early Adopter サイトには専用のフォーラムが用意されていますので、Flutter Maps SDK の気に入っている点や、他にどんな機能が欲しいかなどをお知らせください！
新しい ArcGIS Maps SDK for Flutter ベータを使った地理空間アプリの作り方については、近日中に ArcGIS Blog でご紹介する予定です。
