「デスクトップ地図アプリ開発」シリーズの第5弾の記事です。
これまでの記事では、ArcGIS Pro を使用した地図データの作成から、ArcGIS Runtime SDK for .NET(以下、.NET SDK)を使用した地図操作やレイヤー リストの表示機能などの作成方法をご紹介してきました。
第5弾では、.NET SDK で構築したアプリを配布するために必要なライセンス認証の手順についてご紹介します。
本記事で紹介する機能のサンプル コードは ESRIジャパン GitHub で公開しています。
ArcGIS Runtime SDK for .NET のライセンス
これまで作成してきたサンプル アプリを実際に実行した際に、アプリの地図上に 「Licensed for Developer Use Only」と言うウォーターマークが表示されていることに気がつかれたでしょうか?
これは、このアプリが「開発・テスト用途でのみ使用が許可されている」ということを示しています。
.NET SDK は無償で開発・テストをすることができる地図アプリ開発キットですが、開発したアプリを実際に配布したり業務で利用するには、アプリがライセンス認証されている必要があります。
.NET SDK で開発したアプリを配布するためのライセンスには Lite、Basic、Standard、Advanced の 4 種類のライセンスがあり、各ライセンスで利用できる機能に違いがあります。
ライセンスの詳細は、ライセンス ページをご参照ください。
このシリーズ記事で作成してきたサンプル アプリに実装した、ArcGIS Pro で作成したモバイル マップ パッケージのマップの表示、フィーチャの検索、ArcGIS Online の背景地図表示などの機能は Lite ライセンスを使用してアプリを認証できます。
Lite ライセンス自体は無償で取得できますが、アプリを運用する場合は、ArcGIS Online 組織向けプランや ArcGIS Platform を保有するなど、配布のための条件を満たす必要があります(詳細はお問い合わせください)。
アプリのライセンス認証
アプリを Lite ライセンスで認証するには、.NET SDK のクラスがアプリのソース コードで使用される前に、認証コードを実行します。
以下の例では、アプリの起動時(MainWindow.xaml.cs の Initialize() メソッドの最初)にライセンス認証を実行しています。
public async void Initialize()
{
// ライセンスキーを登録して Lite ライセンスの認証を行う
string licenseKey = "xxxx";
ArcGISRuntimeEnvironment.SetLicense(licenseKey);
// 中略
}
登録するライセンスキー(licenseKey に設定している文字列)は、ArcGIS Developers のサイトから取得できます。
ライセンスキーの取得
ArcGIS Developers のサイトの ArcGIS Runtime license ページ にアクセスして、表示されたライセンスキーをコピーします。
※ ArcGIS Developers にサインインしてない場合は [Sign in to retrieve your Runtime license string] をクリックして、ArcGIS 開発者アカウントでサインインします。アカウントをお持ちでない場合は、サインアップ(無料)してください。アカウントの作成方法は「開発者アカウントの作成」をご覧ください。
取得したライセンスキーを使用して、アプリを認証して実行すると、アプリの地図上に表示されていた 「Licensed for Developer Use Only」 と言うウォーターマークが消えてアプリがライセンス認証されたことを確認できます。
以上で .NET SDK で開発したアプリの Lite ライセンスによる認証は完了です。
「デスクトップ地図アプリ開発」シリーズ記事では、.NET SDK を使用して、基本的な地図機能を実装したデスクトップ アプリを開発する方法を紹介してきました。
.NET SDK では、本シリーズ記事で紹介した以外にも多くの機能を提供しています。米国 Esri 社の GitHub には各機能のサンプル コードが公開されていますので、こちらもご活用ください。
ぜひ .NET SDK を使ったデスクトップ地図アプリ開発を試しみてください!
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