2020年に行われた国勢調査の集計結果の公表が始まっています。
国勢調査は、ArcGIS Insights を使用することで、手軽にマップやチャートとして可視化をすることができます。
今のうちに、現在公開されている 2015年の国勢調査データを使った分析に慣れておいて、2020年の集計結果の公表に備える、というのはいかがでしょうか?
今回はこのようなレポートを作成してみたいと思います。
今回使用する ArcGIS Insights は空間分析×BI ワークフロー×オープンデータ サイエンスの3つを兼ね備えた分析用ワークベンチです。テーブルのフィールド名をドラッグ & ドロップするだけで様々なチャートやマップを作成することができます。
今回は、ArcGIS Online 版 ArcGIS Insights を使用します。
国勢調査のデータは政府統計の総合窓口 e-Stat (https://www.e-stat.go.jp/) から無償でダウンロードすることができます。
早速ダウンロードしてみましょう!
https://www.e-stat.go.jp/ にアクセスします。
[地図] をクリックします。
[統計データダウンロード] → [国勢調査] → [2015年]→[小地域(町丁・字等別)] → [年齢(5歳階級、4区分)別、男女別人口] をクリックします。
任意の都道府県 (今回は東京都) の [CSV] をクリックし、ファイルをローカルに保存します。
ローカルに保存した ZIP ファイルを展開します。
まずは、統計データを ArcGIS Insights で利用しやすい形にしていきます。
ダウンロードした CSV をExcel で開いてみます。
統計値が含まれる列では、1 行目に連番、2 行目にわかりやすい項目名が記載されているため、項目名を1 行目にもっていくのがおすすめです。そして2 行目を削除します。 (ちなみに連番と項目名の対応表 は PDF 形式で存在します。)
また、国勢調査は一定規模以下の町丁・字等地域については、集計結果の秘匿処理が存在します。秘匿は X で表現されます。また、該当数字がないものは、- で表現されます。これらはデータを数値として扱う場合に邪魔になるので、取り除いておきましょう。
完成したものがこちら↓です。
組織サイトのアプリ ランチャーもしくは、https://insights.arcgis.comにサイン インをして、ArcGIS Insights を起動します。
[ワークブック] タブの [新しいワークブック] をクリックします。
[ページに追加] ウィンドウの [ファイルのアップロード] タブをクリックし、先ほど作成したファイルをウィンドウにドラッグ & ドロップします。
続いて、統計データを結合する地理データを追加します。
結合に利用する国勢調査の地理データは Living Atlasですでに提供されており、ArcGIS Insights ではそのデータをすぐに利用できるため、今回はそちらを利用していきます。 e-Stat で提供されている地理データ (シェープファイル) もちろん利用することができます。その場合は、ダウンロードした ZIP ファイルをアップロードすることで利用可能です。その後の流れは、Living Atlas データを使用する場合と同じです。
ただし、e-Stat で提供されているシェープファイルは文字コードが Shift-jis で作成されているため、UTF-8 に対応している ArcGIS Insights でこちらを使用すると、属性の日本語部分が文字化けしてしまいます。境界データとしての利用上は支障はありませんが、文字化けを解消する場合は、UTF-8 に変換するか、今回ご紹介する Living Atlas データをご利用ください。
[ページに追加] ウィンドウの [Living Atlas] タブをクリックし、検索ボックスで「国勢調査」と検索します。
「平成27年国勢調査 町丁・字等界」 (作成者: esri_communitymaps) を選択し、「block」のみにチェックを入れます。
[追加] をクリックします。
ワークブック名を「平成27年国勢調査」と変更し、保存します。
この後の作業でも適宜ワークブックを保存することをお勧めします。
データ追加後の画面では、画面左端のデータ ウィンドウに追加したデータが表示されます。
Living Atlas 等組織外のデータは、ワークブックにコピーすることでリレーションシップの作成や解析に使用することができるようになります。
Living Atlas の全国の小地域のデータはそのままではレコード数が多いので、今回はあらかじめ「東京都」でフィルターをかけておきます。
データウィンドウで「Block」をクリックし、フィールド名の一覧を展開します。
「都道府県名」のデータセット フィルターをクリックし、「東京都」のみにチェックを入れ、[適用] をクリックします。
データ ウィンドウで「Block」の [...] → [ワークブックにコピー] をクリックします。
雲アイコンのついている方の「Block」 の [...] → [削除] をクリックします。
データを確認してみましょう。
Block1には、「リンクコード」列があります。これは、統計データの「KEY_CODE」列と共通の値です。この2つの列を用いてリレーションシップを作成することで、統計値によるマッピングが可能になります。
画面上部の [リレーションシップの作成] をクリックします。
リレーションシップの作成 ウィンドウで、Block1→ (csv 名) の順に選択します。
鉛筆アイコンをクリックして以下の設定を行い、[完了] をクリックします。
「block1 - (csv 名)」テーブル (オレンジ色のアイコン) が作成されます。
これで準備は完了です!
チャートは作成できましたが、より男女での比較がしやすくなるよう以下の調整を行います。
[クロス フィルターの有効化] の設定では、他方のカードで値を選択すると有効化したカードでフィルターがかかるようになるため、このようにチャート上の特定の値にフォーカスをすることができます。
「総数65歳以上」フィールドをページにドラッグし、[マップ] 上でドロップします。
マップ上のレイヤー名の横の [>] をクリックし、[レイヤー オプション] を開きます。
[レイヤー オプション] の [オプション] タブで以下の設定を行います。
シンボル タイプを [数と量 (色)] に変更します。(適宜マウス ホイールをマップ上でスクロールしてマップの表示範囲を変更してください。)
[分類] を展開します。
[総数65歳以上の分割] のドロップダウン リストから「総数、年齢『不詳』含む」 を選択します。
[レイヤー オプション] の [シンボル] タブでカラー パレットやアウトラインの太さを変更します。
[レイヤー オプション] の [凡例] タブで [凡例を別ウィンドウに表示] をクリックします。
カード タイトルを「65歳以上の割合」に変更します。
カード上部の [クロス フィルターの有効化] をクリックします。
任意: [ズーム ツール] → [デフォルトの範囲の設定] でマップの表示範囲を設定できます。
画面右上の [ウィジェット] → [定義済みフィルター] をクリックします。
ページに追加されたフィルターの [追加] をクリックします。フィールドの選択で「CITYNAME」を選択→ [値の使用] をクリックします。
ウィジェットの名前を「市区町村を選択」に変更します。
各カードやウィジェットの配置を調整します。
画面右上の歯車アイコンをクリックしてロゴやバナー色を設定できます。
[共有ページの表示] の [移動] をクリックすると、共有したページにアクセスできます。
共有したページでも、チャートやマップは連動表示を行うことができます。
また、[カードの裏面を表示] をクリックしてみると、統計情報を表示したり、集計結果や画像をエクスポートする機能をご利用いただけます。(共有ウィンドウでエクスポートの有効化・無効化を制御できます。)
今回は、
を行ってみました。
皆さんも、人口をはじめとしたテーブル データを手軽に可視化できる ArcGIS Insights を使用して、対話的な分析を実施してみませんか?
もし ArcGIS Insights を試してみたいという方は、ArcGIS Insights 21日間トライアルをぜひお申し込みください!