ArcGIS でのデータ編集にはバージョンを使用した編集を行う機能があります。今回の記事では、ArcGIS Pro 2.2 から実装された、Web GIS に公開したサービスで使用できるバージョン編集の 「ブランチバージョン」 という機能の概要について、ご紹介していきます。
ブランチ バージョンは、組織の Web GIS に公開されたフィーチャ サービスを介してロング トランザクション※1のマルチ ユーザー編集を可能にする唯一の方法です。
※1ロング トランザクション =編集を開始してから、ユーザーが編集を終了するまでを1トランザクションとする。UNDO/REDOができる。
ブランチ バージョンでは、ArcGIS Pro 2.2 以上のバージョンからブランチ バージョンとして登録したデータを、サービスとして ArcGIS Enterprise に公開することで、そのサービスを ArcGIS Pro で編集する際にバージョン編集ができます。
ブランチ バージョンを使用するには以下の事前準備が必要になります。
① ArcGIS Enterprise (バージョン 10.6.1 以上) 基本配置 を構築
② エンタープライズ ジオデータベース(バージョン 10.6.1 以上)を作成・接続
③ データを ArcGIS Pro のマップに追加し、Web レイヤーとして共有
①ArcGIS Enterprise (バージョン 10.6.1 以上) 基本配置を構築
ArcGIS Enterprise の各コンポーネントを 1 台もしくは複数台のマシンにインストールし、コンポーネント同士を連携させ、ArcGIS Enterprise 基本配置を構築します。
ブランチ バージョンの利用においては、タイルキャッシュ データストア の構築は必須ではありません。
参考:ArcGIS Enterprise 基本構成セットアップ ガイド (※要サポートサイトログイン)
②エンタープライズ ジオデータベース (バージョン 10.6.1 以上) を作成・接続
[エンタープライズ ジオデータベースの作成] ジオプロセシング ツールや [エンタープライズ ジオデータベースの有効化] ジオプロセシング ツールにより、エンタープライズ ジオデータベースを作成します。
エンタープライズ ジオデータベースへ接続し、以下を実行。
③データを ArcGIS Pro のマップに追加し、Web レイヤーとして共有
ブランチ バージョン対応登録したデータセットを ArcGIS Pro のマップに追加し、ArcGIS Pro の [共有] タブ → [Web レイヤー] → [Web レイヤーの公開] を選択します。
[Web レイヤーとして共有] ウィンドウで以下のように設定し、公開します。
[一般] タブ
※ 事前にデータセットのデータベース接続を ArcGIS Server のデータストアに登録
[構成] タブ
以上がブランチ バージョンの概要です。
次回(2020年12月)の記事では、ブランチ バージョンで使用できる機能についてご紹介します。
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