アイテム管理のポイントの紹介 – 前編 – : タグを効果的に活用しましょう

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03-03-2020 12:11 AM

アイテム管理のポイントの紹介 – 前編 – : タグを効果的に活用しましょう

本連載では「アイテム管理のポイントの紹介」の記事として、以下の内容を前編と後編に分けてご紹介します。前編となる本記事では、「タグの効果的な活用」についてご紹介します。

・前編 タグの効果的な活用

・後編 カテゴリの活用

 

タグとは?

タグは ArcGIS OnlineArcGIS Enterprise Portal のレイヤー、Web マップ、アプリ、グループを作成する際に必ず設定する必要がありますが、このタグはどんな役割を果たしてくれるのでしょうか。

タグはアイテム検索の対象であり、特定のアイテムを識別できるようにタグに工夫を加えることで、ユーザーが使用したいアイテムを見つけやすくなり、アイテムの利用を促進することが出来ます。本記事では、アイテムの検索性を向上させるタグの設定方法をご紹介します。

 

タグの設定、編集

冒頭で述べましたが、タグは Web マップやアプリなどのアイテムを作成する際に設定します。タグの入力フォームで文字を入力することでタグを追加することが出来ます。タグの追加では、新しいタグを作成することも既存のタグを選択することも可能です。×ボタンをクリックすることで入力したタグを削除できます。

 

 

ArcGIS Pro から Web マップもしくはレイヤーを公開する場合は、共有ダイアログの入力ボックスにタグを入力します(詳細は「Web マップの共有」および「Web レイヤーの共有の概要」をご参照ください)。

 

 

特定の分野やプロジェクトごとにアイテムを整理、管理することができるグループも、グループ作成の際にタグを入力します(グループの作成や設定の詳細は「グループの作成」をご参照ください)。

 

 

アイテムやグループの作成後、設定したタグを編集することも可能です。

アイテムに追加したタグを編集したい場合は、アイテム ページの [概要] タブから編集することができます。

 

 

 

アイテム ページの右側にあるタグ欄の編集ボタンをクリックすることで、タグの追加や削除が出来ます。

 

 

 

アイテムと同様に、グループに設定したタグもグループ ページの概要タブから編集可能です。

 

 

なお、使用するタグのリストを予め定義したい場合は、誰一人とも共有していないアイテム(未共有のアイテム)に使用したいタグを追加します。追加後、グループあるいは組織内のユーザーとアイテムを共有することで、各ユーザーはアイテムの新規追加や既存のアイテムを編集する際にこれらのタグを使用することが出来ます。ただし、タグのキーワードを入力する際に表示されるタグの数には上限があるので、タグをアイテムに追加しすぎると、一部のタグが呼び出されない可能性があります。

 

 

タグを使った検索

アイテムはタグ以外にも、アイテム名、サマリー、説明文、などの情報を保持しており、アイテムの検索ではこれら全てが検索対象となりますが、アイテムのタイプや所有者、タグ、グループ、カテゴリなどさまざまな条件で絞り込み検索を行うことができます。タグを用いて絞り込み検索を行う場合は、「tags:」を使用することで特定のタグを使用しているアイテムを絞り込むことができます。

(アイテム検索ではタグ以外にも所有者(owner)などのアイテム フィールドを用いた絞り込み検索やグループにおいてもグループ フィールドを用いた絞り込み検索が可能です。このようなフィールドによる絞り込み検索や、範囲検索、さらには AND や OR などの論理演算子を用いた検索等の高度な検索はヘルプ「コンテンツの検索と操作-高度な検索-」に記載されています。これらの検索を試される際はこちらのヘルプをご活用ください)

 

例えば、検索フォームに「空港」と入力すると、全てのフィールドの中から「空港」が使用されているアイテムが検索結果に表示されます。

 

 

この時、上記の検索を行った後に「tags:羽田空港」と検索すると、検索結果の中から「羽田空港」というタグを使用しているアイテムだけが検索結果に表示されます(複数の単語を使用するタグを検索する場合は、タグを引用符("")で囲みます)。

なお、デフォルトでは、検索結果は関連性に基づいて並べ替え表示されていますが、タイトル(アイテム名)、所有者、ビュー数、更新日、評価に基づいて並べ替え表示することも可能です。

 

タグが自動的に入力される場合

アイテムやグループにタグを設定して、検索に活用できることが分かりましたが、次のケースではアイテムの作成時に元のタグが継承されます。以下では、そのようなケースを紹介します。

 

・ArcGIS Server に公開されている Web サービスをアイテムとして追加する場合

ArcGIS Server に公開されている Web サービスを REST エンドポイントを使用してアイテムとして追加する場合、サービスの Keyword パラメーターに設定されている値がタグとして自動的に入力されます。

例えば、下図のサービスをアイテムとして追加する場合を考えます。

 

 

このサービスをアイテムとして追加すると、Keyword パラメーターに設定されている値が自動的にタグとして設定されます。

 

 

・既存の Web マップから新しく Web マップを作成する場合

既存の Web マップから新しく Web マップを作成する場合、既存の Web マップで使用されているタグが自動的に入力されます。例えば、Living Atlas の「Median Home Value and Income」から新たに Web マップを作成すると、Living Atlas のコンテンツに設定されているタグが自動的に入力されます。

 

 

・解析ツールから作成される解析レイヤー

解析ツールから作成される解析レイヤーも自動的にタグが追加されます。以下は、「バッファーの作成」ツールから作成された解析レイヤーに自動的に追加されたタグです。

 

 

(参考情報)アイテム情報

アイテム ページの概要タブには「アイテム情報」と呼ばれるゲージが存在します。このゲージはページに記載されているアイテムの情報量の指標であり、ゲージの値が高いほど、アイテムに関する情報が詳細に記載されているページであることを示します。

 

 

タグはアイテム情報の評価の要素の一つであり、タグの数を増やすことでアイテム情報の値を高めることが出来ます。なお、上記で紹介した Living Atlas コンテンツはいずれもアイテム情報の数値が高いコンテンツなので、アイテム ページの編集の際は当該コンテンツをご参考ください(詳細は「アイテムの詳細」をご参照ください)。

他にも ArcGIS Desktop からレイヤーを公開する場合や Classic Story Map を作成する場合もタグが自動的に追加されます。自動的にタグが追加されるのは自分で設定する必要がない反面、追加されるタグの中には、アイテムの検索性を向上させる上で望ましいものでないタグも存在するかもしれません。その場合は上記で述べたアイテム ページでタグを追加し、不要なタグは削除しましょう。以下にアイテムの検索性を向上させるタグ設定のポイントを記載します。

 

・具体的な単語をタグとして設定(ある部署で使用するアイテムであれば部署名を、あるプロジェクトで使用するアイテムであればプロジェクト名、など)

・抽象的な単語は使用しない(特に「test」は試験的、汎用的に使用され、検索エンジン側で下位に表示されるように調整される単語であるのでご注意ください)

・アイテム名やサマリーなどのフィールドで使用されている単語以外をタグとして設定

・スペルミスや使われていないタグを発見したら後回しにせずに対処(管理の負担を減らします)

 

さいごに

本記事では、タグがアイテムの検索性を向上させるのに役立つこと、検索性を向上させるタグの設定方法について紹介しました。

タグを上手く活用することによって、ユーザーはアイテムを探しやすくなります。ユーザーがよく検索に使用する単語をタグとして設定することも有用です。

今回ご紹介したタグに関する知識も役立てながら、ArcGIS Online / ArcGIS Enterprise (Portal) を活用いただければと思います。

 

詳細情報

以下のヘルプには、本記事で紹介したタグの編集を含むアイテムの設定方法やアイテム検索に関する詳細が記載されています。アイテムを利用する上でより良い環境を構築する際にご活用ください。

コンテンツの参照と検索

アイテムの詳細

 

次回

次回は「2. カテゴリの活用」についてご紹介します。

 

関連リンク

アイテム管理のポイントの紹介 – 後編 –:カテゴリを活用しましょう

 

 

米国 Esri 社ブログ(本記事は以下のブログの内容を基に作成しています)

Using tags effectively

 

ArcGIS 関連ページ

ArcGIS Enterprise(ESRI ジャパン製品ページ)

ArcGIS Enterprise(米国 Esri ヘルプ ページ)

 

タグ管理ツール

ArcGIS Item Information

無料で使用できますが、現在はサポートされていません。使用の際は自己責任でお願いいたします。

Admin Tools for ArcGIS Online

Esri のパートナーである GeoJobe が提供するタグ管理ツールです。このツールの無償版は ArcGIS Marketplace で入手できます。

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‎11-12-2020 10:44 PM
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