ArcGIS Runtime SDK の今後のバージョンアップの計画についてのお知らせ

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05-15-2022 05:39 PM

ArcGIS Runtime SDK の今後のバージョンアップの計画についてのお知らせ

ArcGIS Runtime SDK のバージョンアップ(バージョン番号 200.x)が予定されています。本記事では、バージョンアップに関する内容を、米国Esri社の「ArcGIS Runtime in 2022 and beyond」の記事を翻訳してご紹介します。

 


ArcGIS Runtime SDK 100.x は、2016 11 月に初めてリリースされました。以来 5 年余りの間に、素晴らしい新機能が詰まった 13 回のリリースを提供し、さらに新しい機能を備えた 100.14 のリリースを目前に控えています。

このブログ記事では、100.14 以降の ArcGIS Runtime SDK のバージョンアップの計画についてご紹介します。

 

これまでの歩み

ArcGIS Runtime SDK の基本理念は、常に、マッピング アプリケーションに信頼して組み込むことができる、強力で基礎的な、ワールドクラスの SDK ファミリーを提供することです。このワールドクラスのエクスペリエンスを提供するためには、一貫した API を維持し、破壊的な変更を加えないように注意し、定期的かつ予測可能なリリース頻度を維持することが重要です。それは、アプリに ArcGIS Runtime SDK を使用することを選択した開発者が、自然に感じるような開発者エクスペリエンスをサポートすることも意味します。このような品質により、ArcGIS Runtime をプロジェクトに組み込むことに信頼を持てます。

しかし、テクノロジーの世界では 5 年というのは長い時間です。この間、ArcGIS Runtime SDK が対象とするプラットフォームと、ArcGIS Runtime アプリの構築に使用する開発者ツールの両方で、多くの更新や変更が行われています。

 

今後の予定

このような背景から、ArcGIS Runtime SDK チームはこれらのアップデートをどのようにサポートするのがベストなのか、一歩踏み込んで考えてみました。私たちは、開発者がこれからの時代に対応した ArcGIS Runtime アプリを構築できるようなテクノロジーを取り入れる必要があります。このため、100.14 以降の 2 回の ArcGIS Runtime SDK のリリースは、通常のリリースとは異なるものになります。

2022 8 月にリリースされる 100.15 は、初の長期サポート リリースとなります。これまでのすべての ArcGIS Runtime SDK リリースとは異なり、このリリースには新機能は含まれません。その代わり、不具合修正と、私たちが使用している様々なサードパーティ ライブラリのアップデートに焦点を当てます。つまり、2 年間の新規バージョン サポート(新しい環境の認証、ホットフィックス/パッチ提供)、1 年間の既存バージョン サポート(ホットフィックス/パッチ提供)、2 年間の開発終了バージョン サポート(サポート リソースのみの提供)が提供されることになります。

ArcGIS Runtime SDK 100.15 の次のバージョンは、バージョン 200.0 となります。このバージョンでは、100.15 をベースに、現在使用している機能、統合、パターンをそのままに、Apple, Google, Microsoft, Qt, Java が提供する最新の開発者向けツールに磨きをかけて提供する予定です。

このリリースでは、次のことを行います。

  • 全く新しい ArcGIS Runtime SDK for Swift を導入します。
  • 全く新しい ArcGIS Runtime SDK for Kotlin を導入します。
  • ArcGIS Runtime SDK for .NET を更新し、.NET MAUI をサポートします。
  • ArcGIS Runtime SDK for Qt Qt 6 に更新します。
  • ArcGIS Runtime SDK for Java を更新し、JavaFX との統合を改善します。

つまり、200.0 では ArcGIS Runtime SDK ファミリーを進化させ、ArcGIS Runtime アプリケーションの将来の開発に注力し、100.15 では既存のアプリケーションを継続的にサポートできるよう複数年にわたる強固なコミットメントを提供します。

 

アップデートの詳細

ArcGIS Runtime SDK 200.0 のすべてのリリースは、100.0 のリリース以来、舞台裏で進化してきた、試行錯誤を重ねた C++ Runtime Core をベースに構築されています。

つまり、バージョン 200.0 には、使い慣れた機能、信頼性、パフォーマンス、およびパターンがすべて含まれており、現在の開発ツールやプラクティスに自然に適合するように更新されています。ごく一部の例外を除き、クラス、メソッド、プロパティは、同じ機能を提供するためのより良いアプローチが特定されない限り、同じままです。言い換えれば、200.x  SDK は、ArcGIS Runtime SDKチームがかつてから提供してきた素晴らしい成果物を継承しています。

さらに、ライセンスや機能にも変更はありません。Lite, Basic, Standard, Advanced の各ライセンス レベル、およびエクステンション ライセンスは、すべて変更されることはありません。

また、6 年間にわたる ArcGIS Runtime SDK の信頼性に加え、ArcGIS Runtime SDK のリリース スケジュールと各リリースに対する 4 年間のサポートが継続されます。

 

それでは、各 SDK のアップデートの内容を説明します。

 

ArcGIS Runtime SDK for Swift

Swift ConcurrencySwiftUI、構造体、プロトコル、関連値を持つ列挙型、およびネイティブの Swift コレクションなどの機能をすぐにサポートする Swift ファースト の SDK として、ArcGIS Runtime SDK を完全に再構築するものです。ArcGIS Runtime SDK for Swift Objective-C ベースの ArcGIS Runtime SDK for iOS に代わるもので、アプリケーション コードの一部書き換えが必要になります。

ArcGIS Runtime SDK for Kotlin

ArcGIS Runtime SDK for Android Kotlin ファーストの SDKとして完全に再構築し、コルーチン、フロー、Null Safety などの機能をすぐにサポートします。ArcGIS Runtime SDK for Kotlin は、Java ベースの ArcGIS Runtime SDK for Android を置き換えるもので、アプリケーション コードの一部書き換えが必要になります。

ArcGIS Runtime SDK for .NET

バージョン 200.0 では、100.15 をベースに、次世代の .NET クロスプラットフォーム開発フレームワークである .NET MAUI (Multi-platform App UI), .NET6 for Android, .NET6 for iOS のサポートを追加します。100.15 は、Xamarin.Forms, Xamarin.Android, Xamarin.iOS をサポートする ArcGIS Runtime SDK の最後のリリースになります。

ArcGIS Runtime SDK for Qt

Qt 社は開発者の Qt 6 への移行を進めており、ArcGIS Runtime SDK for Qt バージョン 200.0 でも開発者は Qt 6 の使用が必要となります。Qt 6 に移行することで、新しいグラフィックス API、プラットフォーム アーキテクチャ、言語機能などを利用できるようになります。Qt 5 をサポートする ArcGIS Runtime SDK for Qt の最終バージョンは 100.15 となります。

ArcGIS Runtime SDK for Java

バージョン 200.0 では、ArcGIS Runtime SDK for Java JavaFX との統合が改善され、Java 11 Java 17 の両方が引き続きサポートされます。

 

新しい SDK (Swift, Kotlin) については、他の 3 つの SDK と同様に、開発者の技術を反映した命名に変更されました。これまでは、.NET Qt SDK がともに iOS Android  アプリの構築をサポートしていたため、混乱が生じることがありました。

 

さいごに

100.15 は不具合修正を中心とした長期サポート リリースとなりますが、バージョン 200.0 からはリリース毎に新しい機能をリリースしていく予定です。まだ具体的な内容をお知らせするのは早すぎますが、エキサイティングでパワフルな新機能をいくつか用意していますので、ご安心ください。

この計画は、Palm Springs で開催された Esri Developer Summit 2022 で初めて公式に発表されました。開発者の皆様はこのニュースに大変興味を持たれており、今年後半にはアーリー アダプター版の SDK を提供して作業を開始できるようになる予定です。詳細については、ArcGIS Blog にご注目ください。


 

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