2025 年 6 月から 8 月にかけて ArcGIS Location Platform がアップデートされました。
以前のブログ記事では、主に 6 月のアップデートで追加された新機能についてご紹介しました。本記事では 8 月にアップデートされた新機能の「ベースマップ セッション」について、米国 Esri 社 ArcGIS Blog の「Introducing basemap sessions for ArcGIS Location Platform」を翻訳してご紹介します。
本記事では、ArcGIS Location Platform 開発者向けにベースマップ セッションを紹介します。ベースマップ セッションは、大量のベースマップ タイルを使用する地図アプリケーションを構築する際、使用コストを最適化する新たな方法を提供します。
ベースマップ セッションとは、単一のアプリケーションの単一ユーザーが ArcGIS ベースマップ スタイル サービスから無制限のタイルにアクセスできる時間枠 (最大 12 時間) です。セッションは、アプリケーションがスタイルをロードしてマップに表示した時点で作成されます。
セッション期間中は、読み込まれたスタイルやタイルの数、およびユーザーがズーム、画面移動 、マップの探索を行った回数にかかわらず、ベースマップの使用料は 1 回のみ課金されます。
ベースマップ使用量とは、ベースマップ サービスからベースマップにアクセスする際に発生する消費形態を指します。これは消費されたタイルの数、または作成されたベースマップ セッションの数によって測定されます。アプリケーションで実装するベースマップ使用モデルの種類によって、発生する使用パターンが異なります。
タイル使用モデルでは、アプリケーションから直接タイルを消費します。このモデルでは、ベースマップのタイル使用量とコストを予測することが難しい場合があります。タイル使用量は、使用しているクライアント API、表示するベースマップ スタイルの数、各ユーザーが実行する画面移動、ズーム、および傾き操作の数など、多くの要因に依存します。
セッション使用モデルでは、ベースマップの使用状況とコストをより容易に予測・管理できます。ベースマップ セッションの作成には単一のコストが発生しますが、セッション期間中 (最大 12 時間) のタイル消費には追加コストはかかりません。
使用モデルの詳細については、マッピングおよびロケーション サービス開発者ガイドの「Basemap usage」をご参照ください。
アプリケーションが以下の条件に該当する場合は、使用コストを最適化するためにベースマップ セッションの使用を推奨します。
コストを見積もるための鍵は、以下の点を把握することです。
ベースマップ タイル使用モデルでは、消費されたタイルごとに使用量が計測されます。毎月200 万タイルのベースマップが無料枠として提供され、その後は 1000 タイルあたり 0.15 ドルの課金が発生します。
セッション使用モデルの場合、作成されたセッション数に対してのみ課金されます。ベースマップ セッションは 1000 セッションまで無料で提供され、それを超過した分は 1000 セッションごとに 4 ドルの費用がかかります。
費用と価格の詳細については ArcGIS Location Platform の製品ページをご参照ください。
ベースマップ セッションを使用するには、アプリケーションでセッション使用モデルを実装する必要があります。これは各セッションに対して一時的なセッション トークンを作成するプログラミング パターンです。アクセス トークンを使用してスタイルやタイルに直接アクセスするタイル使用モデルとは異なります。
一般的なワークフローは以下の通りです。
以下のアプリケーションはベースマップ セッションを使用しています。アプリケーションの起動時およびマップの読み込み時にセッションを作成します。セッション中のベースマップ タイルへのアクセスには追加料金は発生しません。セッションの有効期間は 12 時間 (43200 秒) です。セッションが開始されると、作成時に指定されたスタイル ファミリー (ArcGIS または Open) に属するスタイルのみを読み込めます。アプリケーションを終了または再起動した場合、新しいベースマップ セッションを作成する必要があります。このアプリケーションの構築方法については、マッピングおよびロケーション サービス開発者ガイドの「Basemap Usage」をご参照ください。
現在、セッションをサポートしているのは ArcGIS ベースマップ スタイル サービスのみです。
セッションを開始および管理するには、以下を使用できます。
Note : 現時点では、ArcGIS Maps SDKs はネイティブ サポートを提供していませんが、REST API に直接アクセスするか、JavaScript アプリケーションで ArcGIS REST JS を使用することができます。
ベースマップ セッションを使用したアプリケーション構築の詳細については、マッピングおよびロケーション サービス開発者ガイドの新しい「Basemap Usage」ページをご参照ください。
ArcGIS Location Platform の詳細については、Esri のWeb ページや最新のブログ記事、アカウント登録による機能の試用を通じてご確認いただけます。
また、Esri Developer Newsletter にご登録いただくことで、最新の開発者向け技術情報を継続的にご確認いただけます。
本記事では ArcGIS Location Platform の新機能「ベースマップ セッション」について Esri の ArcGIS Blog 記事を翻訳してご紹介しました。従来のタイル数に応じて課金が発生するタイル使用モデルに加え、セッション期間中は追加コストがかからず、セッション数に対して課金が発生するセッション使用モデルが新たに追加されました。お使いのアプリケーションに応じて使用モデルを選択していただくことができるので、ぜひご活用ください。
ESRIジャパン製品ページ
米国Esri社 製品ページ
ArcGIS Developers 開発リソース集
米国 Esri 社 ArcGIS Blog