こちらは、ArcGISアドベントカレンダー2024の 24 日目の記事です。他の記事もぜひご覧ください。
突然ですが、あなたが最後に花火を見たのはいつのことでしょうか?
そしてその花火はベストといえる場所から見ることができましたでしょうか?
打ち上げ花火をよりきれいに見るための場所探しというのは、なかなか難しいものです。例えば、毎年行われている地域ごとの花火大会であれば、慣れ親しんだ地域住民なら知っているかもしれませんが、観光客や住んで日が浅い住民は、花火の打ち上げ場所がどこなのかなど事前情報なしには探すこともできません。また、事前に情報を持っていたとしても実際どのように見えるのかというのは当日になってみないとわかりません。
そこで今回は、次に花火を見る機会に備えるために Unreal Engine で花火はどこから見るといいのかを探るための以下の動画のようなサンプル アプリを作ってみました。
本記事では、上記のアプリを作成するまでに行った内容を共有していきたいと思います。
なお、今回のアプリは横浜スパークリングトワイライトの大さん橋での花火を参考に作成していきます。
今回は、ArcGIS Developers 開発リソース集の ArcGIS Maps SDK for Unreal Engine アプリ開発のページを参考にして、地図の表示と WASD キーを使った移動ができるようになっている状態からはじめます。
花火のエフェクトについては、Niagara システムを使って、Unreal Engine 公式のチュートリアルを参考に作成しています。ちなみに著者は、本記事執筆時に初めてエフェクトを作成しましたが、簡単に作ることができたのでぜひチャレンジしてみてください。
上記したように ArcGIS Developers 開発リソース集で作成したプロジェクトに手を加える形でアプリ開発を行っていきます。
まずは、初期位置を変えていきます。今回変更するのは、ArcGIS Map Component の中心点とカメラとなる DefaultPawn0 に紐づけられている ArcGIS Location Component の Position プロパティをそれぞれ下記の座標に変更します。
Longitude: 139.6443
Latitude: 35.45251
DefaultPawn0 は下図のように高さも 5m の位置に調節します。
上記の座標に変更すると、ちょうど海沿いから赤レンガ倉庫の方向を見るような視点になります。建物が何もないのも寂しいので東京都の PLATEAU データを下記の横浜市の PLATEAU データに変更しておきましょう。変更する箇所は ArcGISMapActor0 の Layers プロパティです。
ここから視点を打ち上げ場所である「大さん橋」の方に向けるために Heading を 90 に設定します。
ここまで、ArcGIS Developers 開発リソース集のマップの設定部分を変更してみました。
次に夜のシーンに変更してみましょう。
昼間の花火は見づらいので、夜のシーンに変更していきます。設定されていた Directional Light のトランスフォーム プロパティから回転の Y 軸の値を 70 に変更します。
夜のシーンに変更することができました。ただ、このままだと地図と建物のデータが見えないので Directional Light をもう一つ追加し、チャンネル機能を駆使して地図を表示しつつ夜のシーンにしましょう。
ここまで、夜の横浜港のシーンを作成することができましたが、白い光だとあまり夜のような雰囲気がないので少し青みを帯びたような光に変更します。
なお、Directional Light のチャンネル機能については、Unreal Engine の公式チュートリアルを参考にしていただければと思います。
最後に花火が打ちあがる位置を調整します。まず、Unreal Engine のサンプルで作成した花火をコンテンツ ドロワーからドラッグ アンド ドロップでレベルに追加します。
次に実際に打ち上げられる位置に配置するために ArcGIS Location Component を花火のアイテム(ここでは Firework )に追加します。
そして打ち上げられる位置ですが、今回は大さん橋なので下記の位置から始まるように設定します。
Longitude: 139.649827
Latitude: 35.453592
レベルのプレイを始めると WASD キーで上下前後左右に移動しながら花火をあらゆる方向からみることができるようになります。
本記事では ArcGIS Maps SDK for Unreal Engine で打ち上げ花火をどこから見ればよいのか探るアプリを作成してみました。GIS においては可視領域などの判定で絶景ポイントを割り出すことができますが、実際に見ているような雰囲気や、現実ではなかなか難しい場所から花火を楽しめるのはゲームエンジンならではの表現かもしれません。
また、ArcGIS では PLATEAU をはじめ、3D の建物モデルが用意されています。それらを使って、今回のように ArcGIS Developers 開発リソース集のアプリ開発ページをベースに Unreal Engine で簡単なアプリを作成できますので、ぜひ一度お試しいただけると幸いです。
ArcGIS Maps SDK for Unreal Engine
Esri Developer (英語)
ArcGIS Developers 開発リソース集 Unreal Engineアプリ開発
Epic Games Community - Unreal Engine