ArcGISEnterprise 導入に役立つ System Design Strategies のご紹介

Document created by satoru_gunjiesrij-esridist Employee on Jun 28, 2020Last modified by satoru_gunjiesrij-esridist Employee on Jul 3, 2020
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はじめに

ArcGIS Enterprise を導入するにあたり、どのように ArcGIS のコンポーネントを構成し、どのくらいの性能のサーバーやストレージを調達してコンポーネントやデータを配置すれば良いのか?ということは組織やシステムの管理者にとって重要な課題です。

この課題に応えるため Esri では GIS の導入を目的としたシステム設計を行うためのトレーニングコースが存在し、そのトレーニングの補足資料として System Design Strategies(システム設計戦略)の Wiki サイトを公開しています。本記事では System Design Strategies にどのような情報が記載されているかの概要をご紹介します。

 

System Design Strategies とは

System Design Strategies では冒頭に記載したシステム構成やサーバーの情報だけではなく、Web GIS を含む組織への GIS の導入を成功させるために必要な方式が包括的に記載されている資料です。

システム要件の定義から、適切なソフトウェアの選択、より適したデータソースの使用などとともに利用者の要求を満たすために必要なハードウェアおよびスケーラビリティに関する情報も含まれています。さらに実運用で必要とされるセキュリティやシステムの保守を行う上で注意すべき点についても記載されています。

 

 

各章の紹介

1.System Design Process(システム設計プロセス)

このセクションでは、GIS のシステム設計の全体像と設計に必要とされる様々な要素について説明しています。

多くの技術的な要素についても記載されているセクションですが、ここではシステム構築の設計自体の重要性について触れられています。ビジネス上の要求をシステム化するためのプロセスを明確に設計することで、システム導入を成功に導くことができます。

また何度か触れられているのが GIS へのニーズやワークフロー、データなど GIS システムに対する要件についてです。これらの要件を明確にすることで必要なシステムのコンポーネントの選定やハードウェアのサイジングが行えます。

 

2.GIS Software Technology(GISソフトウェアの技術)

このセクションでは、ArcGIS ソフトウェアファミリーの説明と配置パターンについて説明しています。

それぞれのArcGIS 製品の特長と機能および配置、そしてどの製品を使用すればシステムへの要求に応えられるかが記載されています。また、ArcGIS Enterpriseのライセンスモデルについても説明されています。

、必要とされるリソースが何であるかを理解することができます。これらの情報を基に必要な製品を適切に配置することで利用目的に応じたシステムを設計することができます。

 

3.Software Performance(ソフトウェアのパフォーマンス)

このセクションでは、ArcGIS プラットフォームのパフォーマンスの基本要素について説明しています。

パフォーマンスの基準となる情報や、データや地図表示ではそれぞれどのような要因によってパフォーマンスが影響を受けるのかが記載されています。ここでは主にでのクライアント側での性能について記載されており、その中にはツールを使用して実際に測定する方法も含まれ、最適なマップを作成することができ、それはシステム全体のパフォーマンスの向上に繋がります。

地図に表示するベクトルデータやラスターデータの特性や地図の複雑さなどのパフォーマンスへの影響を理解することで、GIS システムが組織や利用者に提供できるパフォーマンスを確認することができます。

 

4.Server Software Performance(サーバーソフトウェアのパフォーマンス)

このセクションでは、で地図サービスを配信する ArcGIS Server に関する

パフォーマンスやキャパシティ(容量)を最適化するためのオプションや設定等について説明しています。また、ギリシャでの事例とともに具体的なパフォーマンスやコストについても記載があり、使用するワークフローによってはこれらの情報を参考にすることができます。

これらの情報からサーバー ハードウェアのリソースを活用した運用を行うための適切な設定を行うことができます。

ワークフロー パフォーマンスの概要

 

5.GIS Data Administration(GISデータの管理)

このセクションでは、ArcGIS のデータリソースの管理方法について説明しています。

ArcGIS では多くの種類の GIS データを、要件に応じて RDBMS やファイルなど複数の形式で格納し、ローカルストレージやネットワークストレージなどに配置して利用することが可能です。ここではそれら GIS データの管理方法の説明に加え、表示パフォーマンスやデータ更新等に対応した格納形式、運用を想定したバックアップの手法についても説明されています。一般的なシステムと異なる特徴として GIS ではデータベースに格納されない航空写真や衛星画像といった、大容量かつ多数のラスターデータを扱いますが、これら画像データの扱いについても多くの説明が行われています。

これらの情報を使用することで GIS に特有のデータ管理を行うことができます。

 

6.Network Communications(ネットワーク通信)

このセクションでは、ネットワークの種類や通信のプロトコル、特徴やパフォーマンスに関して説明しています。

ArcGIS を含む GIS アプリケーションでは常に地図表示が要求されるため、一般的に通信量の多いシステムであることが前提として述べられています。データへのアクセスやクライアント/サーバー間の通信、サーバー同士での通信とシステム構成によっては様々な種類の通信が発生し、それぞれが帯域幅や遅延などの影響を受けることが説明されています。これらを理解することにより、必要なネットワークを必要な経路に配置することができます。

ベクターデータソースのトラフィック

 

7.Platform Performance(プラットフォームのパフォーマンス)

このセクションでは、が更新された時のハードウェアプラットフォームのパフォーマンスに与える影響について説明しています。

ハードウェアの性能と、ArcGIS 製品のパフォーマンスの関係について、過去のデータからそれらがどのように変化していったのか、特定の条件でサーバーのCPUとユーザー数の関係などの情報も記載されています。これらは導入するサーバーの性能を考える際の指針となります。

 

8.Information Security(情報セキュリティ)

このセクションでは、一般的な情報システムのセキュリティの概要と可用性、および災害復旧と ArcGIS プラットフォームの関わりについて説明しています。

情報セキュリティではArcGIS Enterprise のセキュリティ設定についても説明されています。、通信の秘匿、クラウド環境でのセキュリティなど多くの情報について説明されています。また、障害発生時の事業継続のための高可用性構成や災害復旧のためのオプションについてもこのセクションに記載されています。これらは導入したシステムの運用方式を考える上で有効な情報源の一つとなります。

 

9.GIS Product Architecture(GIS製品のアーキテクチャ)

このセクションでは、ArcGIS Desktop から Web GIS サービスを提供する ArcGIS Enterprise で様々な機能を提供する役割を担う ArcGIS Server コンポーネントの構成について説明しています。

仮想化技術との関りやArcGIS Server および Portal for ArcGIS のアーキテクチャの説明、配信するサービスの種類や ArcGIS 内部の挙動の解説、ArcGIS のシステムを運用環境への配置について具体的に説明されています。これらの情報から各コンポーネントの配置をイメージすることができます。

製品構成 

10.Performance Management(パフォーマンスの管理)

このセクションでは、Esri のシステム設計コンサルタントが開発した分散コンピューティング環境におけるハードウェアソリューションをサポートするために使用されているシステムパフォーマンスモデルについて説明しています。

パフォーマンスに影響を与えるソフトウェアおよびハードウェアの構成要素、ネットワークに要求されるスループットや応答時間、容量が利用者数や操作などのどのような要件から導き出されるかの説明が記載されています。また、性能検証の重要性についても触れられています。これまでに説明されていたものより、さらにここで詳しく示された情報を基に、導入するシステムのパフォーマンスや負荷をより具体的に考察することができます。

 

11.City of Rome(ローマ)

このセクションでは、実際に ArcGIS を使用したシステムを導入し、運用されているローマ市の事例をケーススタディとして紹介しています。

ここではローマ市が ArcGIS の導入に取り組みをはじめ、導入から段階的に拡張を行うまでの過程において行われた分析や実際の導入後のコストやハードウェアの使用率についても記載されています。このケーススタディにはこれからArcGIS の導入を行う方にとって参考となる具体的な情報が共有されています。

 

12.System Implementation(システムの実装)

このセクションでは、システムの導入において実施される計画、設計、実装、試験そして管理までのそれぞれの工程で実施するタスクや検討すべき項目などを説明しています。

11までのセクションで説明されていた内容を理解し、このセクションで記載されている作業を適用して、実装の計画を策定することができます。

 

最後に

この記事では System Design Strategies の各章の概要についてご説明しましたが、公開されている Wiki の各セクションのページには非常に多くの情報が具体例とともに記載されています。

これらの情報は Esri がこれまで行ってきたシステムの設計や導入によって蓄積されたノウハウを基に作成されているため、参考となる多くの情報が記載されています。実際に ArcGIS を使用したシステムの設計、構築および運用のそれぞれの場面で利用できますので是非ご活用ください。

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